「リュウグウ試料に初期太陽系の新しい磁気記録媒体を発見~太陽系磁場の新たな研究手法の確立に期待~」。2024年4月30日付の北海道大学などの研究チームのプレスリリースのタイトルです。この見出しを見た瞬間、「どういうこと?」、「新しい磁気記録媒体?」とすごく興味を惹かれました。文書管理の業界にいますので、「磁気記録媒体」というと、すぐに磁気テープ、フロッピーディスクなどを連想してしまいます。
プレスリリースを読んでみますと(正確に理解できているか心許ないですが)、はやぶさ2が回収した小惑星リュウグウ(2020年12月に戻ってきましたね。)の試料(砂粒)の表面を、電子線ホログラフィーと呼ばれるナノスケールの磁場を可視化できる電子顕微鏡を用いて観察、分析を行った結果、新たな磁気記録媒体となりうる新しい組織を発見したとのことです。
その組織の粒子はマグネタイトと、それが還元することで形成するウスタイトの両⽅の特徴を持っていることが分かったそうです。これまでに知られていないタイプの組織で、研究チームは、このマグネタイトに⾒える⾮磁性の粒⼦を擬似マグネタイトと名付けたそうです。これに含まれる組織の観察や計算の結果、⽔質変質が終った後の時代における太陽系の磁場情報を記録した新しい組織であると結論づけられたとのことです。水質変質は太陽系形成後数百万年の出来事だそうで、ずいぶん昔の事象の記録が保持できているのですね(リュウグウの母天体は45.6億年前に形成されたそうです)。
プレスリリースでは、今後の期待として、「新しい記録媒体として使われることで、初期太陽系のより幅広い磁場環境の理解につながることが期待されます。」と締められていました。きちんと理解できているかはわかりませんが、なんだかワクワクするような内容でした。「磁気記録媒体」という、なじみ深い用語からまったく想定外の興味深い話題に出会うことができました。改めて様々な事に関心を持つべきだと感じました。(K.T)
参考URL:https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/240430_pr.pdf