電子帳簿保存法令和5年度改正解説と検討の手引き

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コラム

日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)からのお知らせ

 第6回 ハイブリッド文書画像化システムに関する質問

Q44. マイクロフィルム化と電子文書画像化とは競合技術か?
A.ノーである。それぞれの特性を考えると、これら二つの技術は互いに競合するものではなく、文書のライフサイクルの異なる段階を受け持つことによって相互に補完するものである。
電子文書画像化システムは、文書のライフサイクルのうち活用段階で優れた検索機能性を持っているが、コンピュータ用媒体には安定性が充分でないものがあり、また電子文書画像化技術はハードウェア/ソフトウェア依存性が大きいことから、長期間の記録情報の保存には不向きである。マイクロフィルム化は、このような不充分な部分を受け持つことによって、電子文書画像化を補完するものである。マイクロフィルム化は、文書のライフサイクルのうち非活用段階における主たる関心事となる記録情報の長期保存または永久保存に対して、優れた媒体の安定性とシステムに対する非依存性を備えている。
Q45. ハイブリット文書画像化システムとは何か?
A.ハイブリッド文書画像化システムは、電子画像システムとマイクロフィルムシステムを組み合わせたものである。ハイブリッド画像化システムは、電子フォーマットとマイクロフィルムフォーマットの両方で文書を保存する。それぞれのフォーマットは、文書のライフサイクルの異なる段階を受け持つ。電子画像は、文書のライフサイクルのうち活用段階において、記録情報のコンピュータを用いた検索および配布に有効である。閲覧頻度が低下してきたとき、長期保存または永久保存を要する文書については、マイクロフィルムの画像により、安定した確実な保存が行なえる。
Q46. ハイブリット画像化システムは文書管理の最良の実践にどのように関連するか?
A.いかなる文書管理の業務においても、一つの技術で全ライフサイクルを通じて要件を満たせるものではない。ハイブリット画像化システムは、頻繁な検索と長期保存の両方が必要になる文書の効果的なライフサイクル管理にとって最良の実践である。このような要件の組合せが、大量に記録された情報に特徴的なことである。技術と保存媒体を個々のライフサイクルの要件に整合させることによって、ハイブリット画像化システムは、一つの技術だけでは充分に対応できない文書管理の問題に有効な解決策を与えるものである。
Q47. 電子画像とマイクロフィルム画像が一つのオリジナル文書からどのように作られるのか?
A.ハイブリッド画像化システムにおいて、全てのまたは選択されたオリジナル文書は、電子式フォーマットおよびマイクロフィルムフォーマットの両方で保存される。これを実施するには数種類の方法が可能である。
即ち:
・適当なスキャナとマイクロフィルムカメラを使って、オリジナル文書のスキャニングとマイクロフィルム化を別々の操作で行う。
・一体型スキャナ/カメラにより、オリジナル文書のデジタル化とマイクロフィルムへの記録を1回の操作で行う。
・オリジナル文書を先ずマイクロフィルム化し.できた画像をスキャンしてコンピュータ保存用の電子画像を作る。
・オリジナル文書をスキャンした後、電子文書画像から直接マイクロフィルム画像を作る。
マイクロフィルム産業は、上記の異なるそれぞれの施策について効率的な製品や方法を提供している。
Q48. マイクロフィルム用スキャナはどのように使われるのか?
A.マイクロフィルム用スキャナは、マイクロフィルムの画像から電子画像を作る。その電子式画像は、コンピュータを用いた保存、検索、配布のための電子文書画像化システムに取り込むことができる。その画像はまた、コンピュータ支援設計(CAD)、光学的文字認識(OCR)、およびファックスモデムのソフトウェアを含む、その他のコンピュータ・プログラムによって処理することができる。マイクロフィルム用スキャナは、電子文書画像化プログラムその他のコンピュータ・ソフトウェアが読み込める、タグ情報による画像ファイルフォーマット(TIFF)のような、広く普及したグラフィック用ファイルフォーマットで電子画像を作る。
Q49. マイクロフィルムのスキャニングは確実か?
A.イエスである。マイクロフィルム用スキャナは、1960年代に導入され、それ以降着実に改良が加えられてきた。今では評価も定まり充分信頼できる製品群であり、ハイブリッド画像化システムの重要な構成要素である。市販の製品は豊冨な特徴と機能を備えており、新たにマイクロフィルム化される文書を連続してスキャンすることもできるし、マイクロフィルムの旧ファイルを一括してまたは必要に応じ、スキャンして電子画像に変換できることも含め、記録管理の要件を広範囲に満たしている。
スキャナは、16mmマイクロフィルム、35mmマイクロフィルム、マイクロフィッシュ、およびアパーチャカード*に利用可能である。高速度モデルは、オペレーターの介入無しに大量のマイクロフィルム画像をスキャンできるが、より安価なリーダ/スキャナでは、マイクロフィルムのロールやマイクロフィルムにある画像を選んで、オペレーターがスキャンする。マイクロフィルム画像の品質が良ければ最良の結果が得られるが、スキャニングは、頁の整列または回転、マイクロフィルム濃度変動の補正、線の鮮鋭化、その他画像ソフトを使うことによって品質に関する問題に対処している。

注:窓のあるパンチカードサイズの台紙に35mmフィルムのコマを貼り付けたもの
Q50. マイクロフィルムのスキャニングは外注できるか?
A.イエスである。経済性と実行容易性の両面から、外注はしばしば最良の実践である。マイクロフィルムのスキャニングが時々しかない場合には、継続的内部処理能力を維持することは許されないから、特にそうである。画像化サービスショップには、大量の旧ファイルの変換に適した高速マイクロフィルムスキャナが広く行き渡っている。
Q51. マイクロフィルムの画像はデスクトップPCに表示できるか?
A.Windowsパソコン表示用に、マイクロフィルムの画像を検索しデジタル化することのできるコンピュータ周辺機器を数社が製造している。「マイクロフィルムドライブ」と呼ばれるこれらの装置は、ちょうど取外し可能な媒体を用いた磁気テープドライブ、フロッピィ・ディスクドライブ、その他のコンピュータ記憶装置周辺機器と同様に作動する。16mmマイクロフィルム・カートリッジが装填されると、マイクロフィルムドライブは、指定されたフレームを表示するが、そのフレームはコンピュータに持たせた索引またはその他の方法によって検索される。マイクロフィルムドライブは、画像をスキャンし、コンピュータのモニタ表示用にデジタル化した画像を作る。デジタル化した画像は、印刷、他の記憶装置への転送、電子文書画像化システムへの入力、光学的文字認識(OCR)プログラムによる処理、或いは、ファックス、Eメール、その他の方法で電子的に配信できる。
Q52. マイクロフィルムの画像を電子画像から作るにはどうしたらよいか?
A.一部の電算出力マイクロ(COM)装置では、マイクロフィルム、マイクロフィッシュ、またはアパーチャカードに、人が読取れる小型化フォーマットで電子文書画像を記録することができる。イメージCOMレコーダとも呼ばれるこれらの装置は、TIFFまたはPDFのような普及したグラフィック用ファイルフォーマットで電子文書画像を取込むことができる。
イメージCOMレコーダは、電子文書画像システム内に、特別目的用ネットワークプリンタとして接続させることができる。オリジナル文書をスキャンすることによって作った何バッチかを、マイクロフィルム上に定期的に記録して、文書のライフサイクルのうち非活用段階における長期保存または永久保存用の保存コピーとすることができる。時々しか必要の無いユーザーについては、マイクロフィルムへの画像記録をサービスショップに外注することができる。
Q53. 電子画像化システムとコンピュータ支援検索(CAR)システムとは組合わせることが可能か?
A.電子画像化システムとCARシステムとは、入力および検索について同様の考え方をしている。両技術とも、コンピュータ・データベースが文書画像への索引となるが、検索の考え方や処理手順は変らない。両技術とも、検索サーチを行った後個々の文書画像の閲覧または印刷を行う2段階の検索手順を採用している。この二つの技術は、高速検索およびコンパクトな文書保存といった同じような利点を持っている。
電子文書画像システムは、通常、頻繁に参照される文書用に好ましいものであるが、現存するCARシステムを、電子文書画像技術に置き換えるのではなく、組合せることができる。単一のコンピュータ・データベースで、マイクロフィルムと電子フォーマットのいずれに保存した文書画像も検索することができる。1回の検索サーチで、個々の検索要件を満たすマイクロフィルムまたは電子画像を識別することができる。検索用ワークステーションには、コンピュータと、マイクロフィルム表示装置およびプリンタを備えることができる。
この方式は、経済性とシステムの容易性を共に満たす最良の実践になる。特に、統合型の電子文書画像化/CARシステムによれば、マイクロフィルムの画像を電子画像に変換するための時間と費用を省くことができる。以前にマイクロフィルム化した文書はそのまま容易に検索可能であり、一方、新しい文書はコンピュータ保存用にスキャンすることができる。
当初は、統合型のシステムはマイクロフィルムにより多く頼ることになろう。しかし、時間の経過と共に、次第に電子画像が収録された全文書のうちのより多くのパーセンテージを占めるようになる。必要ならば、リーダ/スキャナまたはマイクロフィルムドライブによって、マイクロフィルムの画像が検索される度毎に、その画像をコンピュータ保存用にデジタル化することもできる。所定の期間内(例えば3〜5年)に電子式フォームに変換されないで残っているマイクロフィルムの画像があれば、それは参照価値が低いと考えてシステムから除外することもできる。
 

以上で6回にわたって連載してきた「デジタル時代のマイクロフィルムの役割 Q&A」を終了します。文書の保存を進める皆さんのお役に立てば幸いです。