電子帳簿保存法令和5年度改正解説と検討の手引き

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コラム

日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)からのお知らせ

 第5回 マイクロフィルムの適法性に関する質問

Q38. マイクロフィルムは紙の文書の代用品として法的に容認されるか?
A.答えはイエスである。マイクロフィルムの法的容認性は、文書を、裁判の審理その他の司法手続における証拠として認めること、また法律や政府条例によって課せられる文書管理(文書保存)の要件を満たすこと、の両者において確立されている。マイクロフィルムの画像の法的容認性は、元の文書を正確に再現する真のコピーとしての地位に基づくものである。
Q39. 適用される法律にはどんなものがあるか?
A.米国においては、コピー記録の法的地位は、証拠物件としての業務および一般文書の写真コピーに関する統一法(USC第1732条第28項)、並びに、証拠物件に関する統一規則、およびその副本である、証拠物件に関する連邦規則、に規定されている。
証拠物件としての業務および一般文書の写真コピーに関する統一法は、一般に統一写真コピー法(UPA)として知られている。それによると、全ての司法上および行政上の目的に対して、写真コピーを元の文書の代りに用いることを容認している。従って、裁判の審理に証拠物件としてコピーを容認することも、また法律に定められた文書保存要件を満たすコピーの使用を容認することも述べている。統一写真コピー法は、適合するコピー方法として具体的にマイクロフィルム化を挙げている。
証拠物件に関する統一規則(URE)および証拠物件に関する連邦規則(FRE)のルール1003では、殆ど全ての状況で元の文書の代りとして証拠物件の中に複製文書を入れることを容認している。マイクロフィルムの映像は、URE/FREのルール1001 (4)に記載された複製記録の規定を満たすものである。
Q40. これらの法律では特別な条件がついているか?
A.統一写真コピー法は、連邦、州、その他地方の政府機関が保管する一般文書のコピーに適用される。また、株式会社、合名会社、個人企業、非営利団体、その他非政府組織が保管する事業記録にも適用される。いずれの場合も、コピーは元の文書の正確な再現でなくてはならず、またコピーは,組織で作られた規定にしたがって正しい方法で、作成されなければならない。
統一写真コピー法および証拠物件に関する統一規則は、州の間に起きる法律上の実務の差を調和させるために、様々な州の法律専門委員によって作り出された統一法の例である。統一法は、それが採用された法域のみに適用される。UPAもUREも、連邦裁判所において適用される。これらの法律の一方または両方が、88%の州で採用されている。その他の場合では、州固有の法制によって、マイクロフィルム・コピーの容認性や具体的状況での保存におけるマイクロフィルム・コピーの適合性を認めたり制限したりしている。

Q41. これを電子文書画像に関する法制と比較するとどうなるか?
A.この件について出版物にある議論は、全て、統一写真コピー法並びに証拠物件に関する統一規則および証拠物件に関する連邦規則を背景にしている。
これらの法律が電子画像化技術よりも前に創られたものなので、このような議論は、明記された規定についてではなくその解釈の仕方についてのものになる。統一写真コピー法は、1949年に成文化されている。また証拠物件に関する統一規則は、1953年に成文化され1974年に改正された。証拠物件に関する連邦規則は、1975年に連邦議会を通過している。
UPAは、具体的にマイクロフィルム化を挙げてはいるが、適合する文書再現技術の全リストを載せているわけでもなく、挙げていない技術を除外しているわけでもない。電子文書画像は.UPA並びにURE/FREのルール1001(4)に記蔵されたコピー文書の広義の定義を満たすものである。混乱をできるだけ避けるために、多くの州でコピー文書に関する現行法を改正し、電子文書画像を具体的に網羅するようにして、マイクロフィルムと等価な地位を与えている。いくつかの政府規則では、特定の文書保管要件について電子文書画像を容認するよう改正されている。
Q42. マイクロフィルム化した後は紙の文書は廃棄してもよいか?
A.通常はそうである。統一写真コピー法は、組織体がオリジナル文書を廃棄して法律的な目的に対してもコピーのみに頼ることを認めているが、そうすることを不可欠としていない。しかしながら、オリジナル文書が他の法律で具体的に必要とされる場合には、廃棄は禁止される。そのような制約に該当しないかどうか、適用し得る法制や政府規則について個々に調査する必要がある。
いくつかの州では、統一写真コピー法に、法律事務所、会計事務所、またはその他の組織が、保管者または受託者の法的資格で保有するオリジナル文書の廃棄を禁止する条項を追加している。このような場合は、マイクロフィルム化後のオリジナル文書の廃棄については、それぞれの責任者の許可が必要である。
証拠物件に関する統一規則および証拠物件に関する連邦規則では、オリジナル文書の廃棄について何も規定していない。
いずれにしても、オリジナル文書の廃棄は、保存計画に組込まれた通りに、組織で作成された実務規定に則って正しい方法で処理されなければならない。
Q43. コンピュータ出力マイクロ(COM)の法制の問題についてはどうか?
A.コピー文書に関する法律は、オリジナル紙文書のマイクロフィルムのみに適用される。COMは、コピー文書ではなく原本と考えられている。原本は、オリジナル文書と同じ法律が適用される。COMの場合は複製がコピーとして扱われる。

注:日本におけるマイクロフィルム、COMフィルムの法的問題については、下記をご参照下さい。
・デジタル化に対応した「文書情報マネジメントの基礎と応用」
・「電子帳簿保存の進め方」─申請から実施までの手引き─
・電子帳票システムガイド─電子帳票化の実践的進め方と事例紹介─
発行 社団法人 日本画像情報マネジメント協会