電子帳簿保存法令和5年度改正解説と検討の手引き

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コラム

日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)からのお知らせ

 第4回 効率的保存に関する質問

Q33. 保存効率が重要なのは何故か?
A.スペースは、一つの重要な業務用資源である。何年分も蓄積した多量の紙の記録物を収容するのに充分なオフィススペースを備えている組織は殆どない。充分なオフィススペースは高価であるし、文書で占められたスペースは他の業務目的に使えなくなる。
スペースにからむ問題は、文書のライフサイクルの活用および非活用の両段階に当てはまる。大量の文書を長期間にわたって保存しなければならない場合には、コンパクトな保管が特に重要であり、それが、会社、政府機関、その他の組織体のどこでも直面することになる要件である。
Q34. マイクロフィルム化はどのように役立つか?
A.マイクロフィルムの技術は、業務文書の保管スペースを減少させる点で、長い間にわたって妥当な評価を得ている。紙ファイルの方法と比べた場合、マイクロフィルムは保管スペースを95%またはそれ以上を削減できる。一例として、普通の4段ファイリングキャビネット1本は、約1万頁のA4サイズの紙を収容する。このキャビネットの中見は、16mmマイクロフィルムの2リールに収容することができる。言いかえると、16mmマイクロフィルム用の普通の6段キャビネット1本は、紙の文書で満たした4段キャビネット350本分の頁数を保管でき、しかも、4段キャビネット1本分の床スペースを占めるだけである。350本のファイリングキャビネットであれば、2,500平方フィート*以上の床スペースを必要としたところである。

マイクロフィルム化による省スペースの可能性は、原文書のマイクロフィルム化だけに留まらない。電算出力マイクロでも、多くのコンピュータ・プログラムによって作られる大量のプリントアウトを無くすことができる。COMのマイクロフィッシュ*1枚は、電算プリントアウト・サイズ(11×14インチ*)270ページ分を収めることができる。卓上型のマイクロフィッシュ・トレー1個で、電算プリントアウトの100フィート*の高さの電算プリントに相当する量を収めることができる。

*注:
・2,500平方フィートは約232m²
・マイクロフィッシュは105×148mmのシート状のフィルム
・11×14インチは27.9×35.6cm ・100フィートは約30.5m
Q35. 省スペースと非活用文書のマイクロフィルム化のコストにはどのような関連があるか?
A.他の技術と同様に、マイクロフィルムシステムも初期投資が必要であり、それが時間と共に継続するコストの節減によって回収されることになる。節減は、通常コスト削減またはコスト回避の形をとる。非活用文書がマイクロフィルム化されると、紙の文書によって占められていたオフィス・スペースが他の業務目的に利用できるようになり、それによって、そのような目的のために追加スペースを確保するコストが削減または回避される。

一例として、100万頁のレターサイズの紙は、4段キャビネット約100本を必要とし、800平方フィート*の床スペースを占める。平方フィート当り年間30ドル*のレンタルでは、そのスペースのコストは年間24,000ドル*である。マイクロフィルム化のコストは、頁当り5セント*として50,000ドルとなる。これらの数字に基づけば、マイクロフィルム化のコストは、オフィス・レンタル料の節減によって2年余りで回収できる。ほとんどの場合、このように短期間に投資金額の回収ができるマイクロフィルム化は極めて望ましい事業投資と考えられる。

*注:・800平方フィートは約74m²
・1平方フィート30ドル/1ドルを120円として換算すると、年3,600円 日本ではオフィス賃借料を1坪/240,000円/年とすると、6,740円です。
・年間24,000ドルは2,880,000円
Q36. 省スペースのために非活用文書をマイクロフィルム化することが常に最良の実践になるのか?
A.答えはノーである。マイクロフィルム化は、文書のライフサイクル管理について系統的に行なわれる包括的プログラムの中の1要素である。省スペースについては、マイクロフィルム化は、通常、不要文書の廃棄および非活用文書の外部保管と組合せて行なわれる。特定の業務において、最良の実践は、記録文書保存要件によって決められるものである。

業務その他の目的に対して価値の無い陳腐化した文書については、明らかにマイクロフィルム化より廃棄の方が望ましい。保存期間が10年未満、場合によって15年までの非活用文書については、外部保管が利用できるならば、通常はその方がマイクロフィルム化より経済的と言えるであろう。それよりも長くなると、外部保管のために累積される年間費用が、マイクロフィルム化のコストを上回るであろう。最良の実践の観点からは、マイクロフィルム化は、適用業務と保存手段を適切に見極めながら、記録保存プログラムに沿って実行すべきである。
Q37. 省スペースのためには非活用文書のマイクロフィルム化の代りに電子文書画像化をしたらどうか?
A.マイクロフィルム化も電子文書画像化も、一定量の紙の文書に対する省スペース効果は同程度である。マイクロフィルム化とスキャニングのコストも、通常は同様である。しかしながら、長期保存(大抵は10年以上)または永久保存が考えられる文書については、マイクロフィルム化の方がより良い実践である。マイクロフィルム化は、前に述べたような電子文書管理システムに固有の媒体安定性やシステム依存性の問題を回避することができるからである。