適切な文書情報の管理は、企業活動における重要な課題とされています。それはなぜ重要な課題ととらえられているのでしょうか。これまでの企業活動における文書情報の管理について振り返りながら考えてみましょう。
紙文書の作成、その流通、保管が業務プロセスの中心だった時代では、各部門や個人の机上に沢山の紙文書が山のように積み上げられており、必要な情報を探すことに時間を要することが多々ありました。ナレッジとしての参考情報を得ようとしても検索性が低く、貴重な情報が個人に属している(情報の属人化)など、情報の有効活用が難しい状況がありました。これらを解決するためにオフィス内の文書をファイリングし分類、配架、廃棄のライフサイクルを統制する仕組みとしてファイリングシステムや電子文書管理システムによるデータベース化が進められてきました。
紙文書中心の時代を経て、ほとんどの業務処理にパーソナルコンピュータを利用することが当たりまえの時代になり、電子で作成した文書が浸透してきました。重要な情報のやり取りは電子メールで行われ、サーバーを介したファイルの共用やクラウドストレージの利用も普及してきています。しかし明確なルールがないまま文書の電子化および共有が進んだ結果、必要な情報が共有ストレージ内や個人のパーソナルコンピュータ内など、さまざまな場所に分散して保管されるようになり、電子化が進んでもやはり必要な情報が的確に探し出せないというケースも発生しています。このため、電子文書を適切に管理及び運用できるノウハウやツールが求められてきました。
現在は、生成AIの活用が当たり前になりつつあります。どのような情報を学習させるか、学習効果を高めるにはどのようにすればよいか、最新かつ正しい情報をどのように活用するか、社内の経験情報をどのように蓄積していくかなどが新たな課題となっており、改めて適正な文書情報管理の重要性が認識されています。このように企業活動を取り巻く環境の変化に合わせて、企業内の経験や知識の集積である文書情報をいかに蓄積し、特に適切なAIでの活用を視野に入れた文書管理が競争優位性や説明責任の確保のために重要なのです。
※1:文書情報:公益社団法人日本文書情報マネジメント協会の定義では、「「業務における文書と文書を特定し管理するための情報」と定義しています。ファイル基準表、経緯情報、ログや総称としてのメタデータが該当します。